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高血圧の薬を飲んだら一生もの?

[2023.07.22]

ようやく関東地方も梅雨明けしたようで、これから本格的に暑い夏がやってきますね。

当院の下にある調剤薬局の方がときどきホースで打ち水をしてくれます。打ち水をしますと、あたり一帯の温度が確実に低下するのでありがたいです。

今日は、血圧の話をしましょう。

医学部の授業で出てくることですが、血圧というのは、心臓の拍出量×末梢血管抵抗であらわされます。先ほどの打ち水の話に例えますと、水道の蛇口をつよくひねると、たくさんの水がホースに流れますが、流れる水の量が心臓の拍出量、ホースの硬さ、しなやかさが末梢血管抵抗のようなものです。高血圧の患者さんでは、動脈硬化によって血管の内径が細くなり、また、交感神経が緊張することで、血管が締まってしまい、末梢血管抵抗が上昇しております。そのため、たくさんの血液を送らなくてはならず、心拍出量が増加しております。

高血圧のお薬は、この末梢の血管を拡張させ柔らかくしたり、交感神経の緊張状態を改善したりすることで、血圧を低下させます。

一生内服しなければならないのか

高血圧の薬を飲み始めたら一生のまないといけなくなるから、飲みたくないという方が時々いらっしゃいます。そのお気持ちはわかる気がしますが、高血圧の薬を飲み始めたら、一生のまないといけない体になるわけではありません。血圧の薬を飲んでいる方が、やめたとしても、すぐ何かが起きるわけではなく、飲み始める前の状態に戻るだけです。

血圧の薬を飲み始めて、途中で不要になるケースも多々ありますが、多くの方はそのまま飲み続ける方が多いのは事実です。血圧の薬が必要な患者さんには、はっきりとそうお伝えしております。内服するメリットがデメリットを上回るという話もよくしています。繰り返しこちらの考えを説明すると、多くの方は納得して内服していただきます。

高血圧を治療したほうが良い理由

高血圧を治療しないと、動脈硬化が進む原因になるからです。動脈硬化が進む原因は、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙の4つをまず抑えましょう。また、高血圧は、脳出血と特に関係しています。

高血圧は動脈に負担をかけるため、長い間高血圧がつづくと血管が次第に脆くなってしまい、破れてしまうことがあります。脳内の動脈が破れると、脳出血がおきます。かつて戦後すぐ、特に東日本で脳出血の患者さんが非常に多い時期がありましたが、減塩の啓発が進み、安全な高血圧の薬が普及したことで、脳出血の患者さんが激減しました。血圧のコントロールが進んだことが影響しているのは間違いないと考えます。

 

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