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チアゾリジン

チアゾリジン薬は、脂肪細胞に作用して、インスリン抵抗性を改善する薬です。

インスリン抵抗性とは何でしょうか。肥満により、すい臓からでるインスリンはある程度分泌されていても、効きにくくなり、血糖が下がりにくくなる現象を、インスリン抵抗性と呼んでおります。

チアゾリジン薬は、脂肪細胞の核内受容体PPARγ(ピーパーガンマ)に結合し、脂肪細胞から分泌されるさまざまな物質(アディポサイトカイン)のうち、悪玉のアディポカインとして、インスリン抵抗性を惹起する物質(遊離脂肪酸(FFA)、TNF-α、レジスチン)の分泌を減少させます。そして、インスリン感受性を改善する善玉のアディポネクチンの分泌を増加させることで、インスリン抵抗性を改善させると考えられてきました。

現在使用できるチアゾリジン薬はアクトス(一般名:ピオグリタゾン)のみとなっております。

使用頻度の減少 いまでも有用?

メトホルミンとならぶインスリン抵抗性改善薬で、発売当初はとても期待された薬剤で、使用頻度も高かったです。しかし、現在では、有害作用の発現が少なくないため、限られた患者様に使われております。

有害作用のその1ですが、ピオグリタゾンを使いますと、水分がからだに溜まってゆく傾向が認められており、心不全の患者さんには使ってはいけません。

その2ですが、ピオグリタゾンを長期に使用しますと、体重が増加する傾向が認められています。チアゾリジン薬中止により、体重が減少するケースも何例も経験してきました。

その3に、ピオグリタゾンにて骨折リスクの上昇が認められます。

その4ですが、2011年にフランスにおける観察研究で膀胱がんのリスクを上昇させる可能性が示されました。その後、膀胱がんの発生について否定的な見解もあったのですが、添付文書が改訂され、ピオグリタゾンを投与する患者さんには、膀胱がん発症のリスクを十分に説明することという文章が追加されました。そのため、使いにくい薬になってしまいました。

加えて、製薬特許が切れ、メーカーがあまり力を入れなくなってから、さらに処方頻度が激減しております。糖尿病患者さんの初めての内服薬としては、あまり使用されませんが、いまでもアメリカ糖尿病学会のガイドラインには記載されています。

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