αグルコシダーゼ阻害薬
いただきますの後に・・・
αグルコシダーゼ阻害薬は、1日3回食直前に内服しなくてはならないという縛りがありますが、そこをきちんと守ることが出来れば、いまでも有用な薬です。臨床試験では平均0.3-0.6%程度のHbA1cの改善効果を認めています。
内服するタイミングとしては、3度のお食事を前にして、いただきますといってから内服し、食事を食べ始めるというイメージの内服です。飲み忘れた場合は食事の最中であれば内服してよいのですが、食事が終わってしまってからは、飲んでも効果がないので飲んではいけません。
作用のメカニズム
この薬剤の作用のメカニズムについてです。食事により摂取された炭水化物(デンプン)は、小腸においてαアミラーゼにより二糖類に分解され、さらに小腸粘膜に存在するαグルコシダーゼによって単糖類にまで分解されてから小腸から吸収されます。このお薬はα-グルコシダーゼの作用を競合的に阻害することで、糖の吸収速度を遅らせる薬です。
炭水化物が吸収されず、便から排出されれば一番良い気もしますが、このお薬はそこまでの効果はなく、吸収のスピードが遅くなるだけです。しかし、それだけでもブドウ糖の代謝には非常に役に立ちます。
糖尿病患者さんのインスリン分泌の速度は、健康な人と比べて遅れていることが問題になります。ブドウ糖の吸収が遅れて、食後の高血糖のピークが後ろにずれれば、遅れているインスリン分泌にうまくタイミングがあって、食後高血糖が改善する場合があります。同じ、毎食直前のグリニド薬との相性がよいので、合剤(グルベス配合錠®)もよく用いられるお薬です。
αグルコシダーゼ阻害薬は、単独で使われることは少なく、ほかの糖尿病薬との併用が必要になります。低血糖を起こしやすい薬を一緒に飲んでいる場合は、低血糖に備えて、砂糖ではなく、ブドウ糖を携帯する必要があります。砂糖の分解を抑制する薬なので、低血糖からの回復が遅れてしまうのが理由です。