疎経活血湯
本日は、腰痛の特効薬である、疎経活血湯についてお話しします。
疎経活血湯の構成生薬は17あります。構成生薬が多いほど、即効性はあまりなく、じっくり長期に内服して体質改善を図るイメージです。
痛み止めの効能をもつ生薬が5つ配合されています。防風(ボウフウ)・防已(ボウイ)・和羗活(ワキョウカツ)・威霊仙(イレイセン)・白芷(ビャクシ)です。また、四物湯『地黄・当帰・芍薬・川芎(せんきゅう)』を含有しております。四物湯は、からだのすべての部分、皮膚や毛髪、爪、筋肉、臓器などに栄養をいきわたらせる方剤です。
利水作用をもつ蒼朮(ソウジュツ)・茯苓(ブクリョウ)が浮腫を改善します。また、当帰・桃仁(トウニン)は血の巡りをよくします。血の巡りをよくすることを、漢方では活血と呼んでいます。これらの生薬が、腰痛、関節痛、神経痛に効果を発揮すると考えられます。
西洋薬と漢方のいいところを組み合わせて治療を
痛み止めとしては、西洋薬のロキソニンがもっとも即効性があり、効果は高いと思います。しかし、ロキソニンはシャープな薬ですので、腎機能障害、胃炎を起こすことがあり、注意して使用する必要があります。ロキソニン1日3回を長期に続けることは極力避けたいところであり、ロキソニンの使用頻度を減らす目的でも漢方を上手に使いたいです。痛み止めとして有効な漢方薬は、疎経活血湯のほかに、越婢加朮湯、桂枝加朮附湯、大防風湯などがあります。急性の痛み止めとしては、芍薬甘草湯が有効なことがあります。ぎっくり腰に対しては、まずロキソニンや芍薬甘草湯で急性の痛みを抑えてから、疎経活血湯を長期に使うという選択肢があります。漢方と西洋薬のいいところを組み合わせて治療を行います。