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インスリン治療

インスリン治療は、現在1型糖尿病に対しても、2型糖尿病に対しても重要な治療法です。

1型糖尿病においては、患者さんのすい臓からインスリンが全く、またはほとんど出ておりませんので、インスリン皮下注射が必須になります。2型糖尿病患者さんでも、病気の期間が進行してきますと、体内からのインスリン分泌がだんだん低下してきますので、その場合は内服薬では血糖コントロールの目標を達成することが難しくなり、インスリン治療が必要になります。

インスリン治療が必要な場合、診察室で患者様とじっくりとお話をいたします。インスリンを導入するメリットが、デメリットを上回ることをご説明し、最終的に患者様にご納得いただけた場合のみ、インスリン治療を開始します。

インスリン治療は専門的医療であり、ただインスリンを処方するだけでなく、なによりも患者さんの血糖コントロールをよくしたいという意思が大事で、それをサポートするため、主治医や医療スタッフからの生活全般の気配りや継続的に患者さんを支援する体制が大切です。当院はインスリンが必要な患者様に、インスリン治療の意義を理解していただき、インスリンの継続を支援する体制を整えております。他の病院でうまくいかなかった患者様も、遠慮なく困ったことをご相談いただければ幸いです。

基礎インスリンを補充するインスリン製剤

健康なひとでは、食事のたびにすい臓からインスリンが分泌されますが、それ以外にも、空腹状態でも、少量のインスリンがすい臓から持続的に分泌されています。血糖値を上げるホルモンには、グルカゴンやアドレナリン、コルチゾールや成長ホルモンなどがありますが、グルカゴンが血糖の維持に重要で、グルカゴンとインスリンが綱引き状態で、空腹時の血糖値を一定値に保っています。

インスリンが導入になる方の多くは空腹時血糖値が200mg/dLを超えていらっしゃいます。その状態は、インスリンがグルカゴンとの綱引き対決に負けつつある状態で、綱の中心が高血糖側に傾いているということです。そとから基礎インスリン製剤を注射することで、インスリン側を応援してあげると、血糖値が100mg/dLに近いところに下がってきます。

基礎インスリン製剤には、グラルギン(商品名ランタス)、トレシーバ、ランタスXRがあります。

基礎インスリン製剤に、GLP-1製剤(トルリシティやオゼンピック)を組み合わせた治療もよく選択されます。内因性インスリンが残っており、追加分泌をGLP-1製剤で生かし、基礎インスリンを補充することで、しばしばコントロールが得られる場合があります。

基礎インスリンと追加インスリンの考え方

以下の図は、健康な人で、インスリンがどのように分泌されているのかを考えるための模式図です。

日本人は1日3食食べる方が多いと思いますが、食事のたびに膵臓からインスリンが分泌されます(追加分泌)。また、空腹時でも、低いレベルのインスリンが持続的に分泌されており、基礎分泌と呼びます。

糖尿病になりますと、インスリンの分泌が、追加、基礎共に低下してくるため、インスリンが必要な場合、それぞれの種類のインスリンを補充する必要があります。

 

 

 

 

追加インスリンを補充するインスリン製剤

基礎インスリンは、夜間の血糖値や空腹時の血糖値を下げてくれますが、食後に高血糖になってしまう方では、食後の高血糖を改善する力は弱いです。基礎インスリンだけで目標達成不十分という場合は、追加インスリン1日3回の注射を考えます。1日3回の注射が難しいとおっしゃる場合には、夕食などのビッグミール(一番糖質を摂取する食事)に1日1回からの注射を実施したりします。

追加インスリンは、通常、超速効型と呼ばれる、ノボラピッド、ヒューマログを選択します。現在は、フィアスプ、ルムジェブという、添加剤を加えてさらに効果発現を速めて、食事開始後20分(食後)の投与も可能になったインスリン製剤も出ています。

 

強化インスリン療法

1型糖尿病の患者さんには、基礎インスリンを1日1回(作用時間が長く、切れ目がないトレシーバが選択されます)、食事ごとにノボラピッドやヒューマログを1日3回と、1日4回注射を実施します。2型糖尿病患者さんも、インスリン分泌がある程度低下してくると強化インスリン療法が必要な場合があります。

参考ブログ

インスリン製剤は人工的に合成されています。

 

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