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糖尿病患者の目標エネルギー消費量

これまで糖尿病患者に対する食事療法は若干エネルギー摂取量が少なく指示されていましたが、2019年に糖尿病診療ガイドラインが改訂されまして、若干エネルギー摂取量が増えました。そして、目標とする体重は患者の年齢、病態等によって異なることを考慮し、個別化を図ることが必要であることが明記されました。まず、治療開始時に総エネルギー摂取量の目安を定めたのち、その後の体重の変化を確認し、目標を修正することになりました。
まず、患者さんの目標体重についてです。この目標体重は、この体重を目指すべきという目標ではなく、エネルギー摂取量を計算するための体重のことです。


<目標体重の目安>
65 歳未満:(身長)×(身長)×22
65-74 歳:(身長)×(身長)×(22~25)
75 歳以上:(身長)×(身長)×(22~25)*
*75 歳以上の後期高齢者では現体重に基づき、フレイル、(基本的)ADL 低下、併発症、体組成、身長の短縮、摂食状況や代謝状態の評価を踏まえ、適宜判断する。
<身体活動レベルと病態によるエネルギー係数(kcal/kg)>
①軽い労作(大部分が座位の静的活動):25から30の間
②普通の労作(座位中心だが通勤・家事、軽い運動を含む):30から35の間
③重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある):35以上
高齢者のフレイル予防では、身体活動レベルより大きい係数を設定できる。また、肥満で減量をはかる場合には、身体活動レベルより小さい係数を設定できる。いずれにおいても目標体重と現体重との間に大きな乖離がある場合は、上記①~③を参考に柔軟に係数を設定する。

肥満の方に対する目標エネルギー摂取量については、ガイドラインについては明確に記載されていませんので、個別に設定する必要があります。

以上のガイドラインだけではわかりにくいので、具体的な患者さんの例をあげて説明します。

50代男性、身長164cm 体重75kg BMI 27.9 初発の糖尿病でHbA1c 9%

肥満を合併しているので減量が必要です。まず体重の3-5%の減量を目指します。体重にすると、2kgから4kg程度の減量となります。目標体重は59kgであり、身体活動量は①軽い労作ですので、目標体重×28ですと1600kcalとなります。実際には、減量を目指すので、ここから、さらに200kcalぐらい引いて、1400kcalとなります。係数を28から少し下げて25ぐらいに設定しても、1400kcalとなります。計算方法はどちらでも構いません。

大切なのは、食事指導を受けたその後の体重の推移をみてゆくことです。体重が減っていて、HbA1cが改善していれば、患者さんの食事療法はうまくいっていると考えられます。

 

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