【GLP-1製剤】インスリンではないけど週1回の注射のお薬です。
明らかに肥満を伴っている2型糖尿病で、HbA1c 8%台から9%台の患者さんにまず使ってみたいお薬がGLP-1製剤です。正確にはGIP/GLP-1受容体作動薬といいますが、マンジャロも同系統の薬と考えてよく、一緒に扱って説明します。
GLP-1製剤は、2010年に初めて発売されました。ビクトーザとバイエッタという2つの薬剤です。ビクトーザが1日1回で主に血糖値を改善する薬、バイエッタが1日2回の注射薬で、食欲を抑えて体重を減らす薬でした。当時はよく使っていましたが、現在では週1回の製剤が出ましたので、これらの薬剤を使うことはほどんどありません。
現在よく使われているのはすべて週1回の製剤で、トルリシティ、オゼンピック、そして4月から長期処方が解禁になって使いやすくなったマンジャロという薬剤があります。
日本人で非常に多く使われているDPP4阻害薬と作用機序は似ておりますが、薬理学的なGLP-1アナログの血中濃度がDPP4阻害薬と比べてはるかに上昇するため、血糖低下作用や食欲抑制作用、体重減少作用が、DPP4阻害薬よりもはるかに強くなります。自己注射導入によりHbA1c 1%以上の低下が認められる患者さんも多く経験しています。
患者さんには、インスリンではないけど、週1回の注射のお薬です。血糖値を大幅に改善して、食欲も抑制して体重も減らす方向に働く薬ですと説明しています。特にトルリシティやマンジャロはアテオスという打ちやすく便利なデザインですので、痛みが少なく注射はもっと痛いものだと思っていたという方が多いです。
トルリシティ、オゼンピック、マンジャロの順番に食欲の抑制作用が強く、つまり体重減少効果が強い薬剤です。肥満があまりなく、体重をむしろ減らしたくない患者さんにはトルリシティを使います。肥満が最も強く、まず体重を極力減らしたい患者さんがマンジャロを使います。オゼンピックはその中間という感じで使い分けると最もうまくゆくと考えています。肥満の患者さんは内因性のインスリン分泌が残っていることが多く、GLP-1がはまると糖尿病は見事に改善します。かつて肥満合併の糖尿病治療はなかなか困難でしたが、現在はラインナップが充実しております。当院までご相談ください。