メトホルミン(メトグルコ🄬)
メトホルミンの出発点
糖尿病治療薬のひとつであるメトホルミンは、中世ヨーロッパで糖尿病症状(口渇・多尿)を緩和するために用いられていた,民間薬ガレガソウが出発点とされています。20世紀初頭にこのガレガソウからグアニジンが抽出され,血糖降下作用が確認されました。しかし、グアニジンは毒性があるため糖尿病治療薬としては使えませんでした。戦後になってグアニジンを2個結合させることで,安全性を高めたビグアナイド系化合物(bi-guanide)が誕生しました。ビグアナイド化合物にはフェンホルミン,ブホルミン,メトホルミンが使われていましたが、その中でもっとも水溶性で乳酸アシドーシスの合併症が少ないメトホルミンが広く使われるようになって現在に至っております。
メトホルミンの特徴
・糖尿病患者さんは、肝臓からブドウ糖が常に血液中に放出されている(糖新生)ため、空腹時の高血糖になっております。メトホルミンは、肝臓からの糖新生を抑制し、インスリン抵抗性も改善する。
・増量するたびに血糖値をさらに下げる効果があり、1日500mg(2錠)から初めて、消化器の症状が出ないか観察しながら、1日2250mg(9錠)まで増量できる。
・初期に消化器系の副作用(むかつき、下痢)が出ることがあるが、使ってゆくうちに徐々に改善することが多い。
という特徴があります。
糖尿病診療には欠かせないお薬であり、1錠10円程度という薬価の安さもありがたいです。
食事が十分にとれないときはご相談を
服用の注意点として、これはメトグルコに限ったことではないのですが、体調不良のとき、例えば、新型コロナ感染症や胃腸炎に感染したときなど、食事が十分とれないときは休薬する必要があります。かかりつけの患者さんで、食事がとれないぐらい具合が悪い時はご一報いただけるとありがたいです。