メニュー

グルカゴンを測定する意義

[2023.11.30]

膵臓の内分泌細胞であるランゲルハンス島にはA細胞とB細胞があり、それぞれ、グルカゴンとインスリンを分泌しています。グルカゴンは血糖値を上昇させ、インスリンは血糖値を低下させる、その綱引きのバランスの結果血糖値が決まると教科書には書かれております。ところが、グルカゴンについてはこれまであまりスポットが当たってきませんでした。そもそもグルカゴンの測定系がかなり不正確で、使い物にならなかったこと、グルカゴンに介入する薬がなかったからというのが理由ですが、2010年代になって、DPP4阻害薬やGLP-1受容体作動薬といった、グルカゴンを抑制して血糖値を低下させる薬剤が登場したこと、また、群馬大学の北村先生らのグループにより、グルカゴンの正確な測定系(サンドイッチエライザ法といいます)が実用化され、実際に病院やクリニックでも測定が可能になったことから、グルカゴンに注目が集まっております。

グルカゴンの作用は、これまで、インスリンと逆の反応をすると考えられていて、食後についてはインスリンが分泌されるため、グルカゴンは逆に抑制されると考えられてきました。これはブドウ糖ジュースを飲んだ時にはたしかに、食後グルカゴンは抑制されるのですが、3大栄養素を含んだ食事負荷試験をすると、食後に血中のグルカゴンが上昇することが、新しいサンドイッチエライザの系ではあきらかになっております。グルカゴンは、アミノ酸や脂肪の代謝にかかわっており、アミノ酸を代謝して尿素を合成したり、筋肉を分解した結果出てくるアミノ酸から、ブドウ糖を合成する糖新生を起こしたりすることが分かっております。また、脂肪を代謝してケトン体を合成たりといった糖質以外の代謝にもかかわっているので、たんぱく質や脂肪を含む食事負荷試験では、インスリンだけでなくグルカゴンも上昇するという機序のようです。

2014年に登場したSGLT2阻害薬は、尿糖を排泄することで、血糖値を下げ、インスリンの分泌を低下させ、代償的に膵臓からのグルカゴン分泌を上げるので、体脂肪を代謝してケトン体産生を増加させる働きがあります。したがって、インスリンの過度な減量や、糖質の極度な制限などを行っていると、正常血糖ケトアシドーシスを起こしやすくなります。

したがって、SGLT2阻害薬を使用する際には、GLP-1製剤やDPP4阻害薬と併用するのが理にかなっているとして、両者の合剤というものも発売されております。患者さんにとっては、2種類の薬を1錠の内服で済むメリットがあります。

当院でも、必要と考えらえる患者さんには、インスリンだけでなく、グルカゴンを測定してみたいと考えております。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME