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ウゴービ皮下注射は、当面の間当院では処方できません。

肥満症治療剤のウゴービですが、発売元のノボノルディスク・ファーマが2024年2月22日に発売すると発表しました。ですが、厚生労働省はGLP-1受容体作動薬の乱用を防ぐため、最適使用推進ガイドラインを満たす施設でのみの使用を想定しています。

このガイドラインを満たす施設は、肥満症治療に関連する学会(日本糖尿病学会、日本内分泌学会、日本循環器学会)の専門医が常勤している教育研修施設、つまり大学病院などの大規模な医療機関に限られるとしております。

以上のことから、当院を含むほとんどのクリニック(入院ベッドを持たない診療所)では保険診療でウゴービを発売直後から使用することは難しい状況です。当院においては、院長は日本糖尿病学会と日本内分泌学会の専門医ですが、クリニックは教育研修施設には指定されておりません。クリニックで教育研修施設に認定されるにはかなり高いハードルがあり、東京都では多摩センタークリニックみらいのみが、教育研修施設に認定されております(同院がウゴービに対応されるかは未確認です)。大学病院や、それに準ずる地域の基幹病院が教育研修施設に認定されることが多いですが、個々の病院については当院は把握しておりません。

現在のところ当院では、肥満症患者さんに対してウゴービの使用が適切かどうかを判断し、適応があり、患者さんが希望する場合は適切な施設に紹介する方針です。以上、申し訳ありませんがご了承くださいますよう、お願いいたします。

 

ウゴービ皮下注射は、セマグルチドという成分であり、GLP-1受容体作動薬に該当します。糖尿病に用いられるオゼンピックと成分は同じですが、適用疾患が肥満症になり、オゼンピックとは薬事上別の薬の扱いになります。オゼンピックと同じく、週1回の自己注射を行う製剤です。

ウゴービ皮下注射を使用するには条件を満たす必要があります。BMI27以上で、2つ以上の肥満に関連する健康障害が生じている場合、またはBMI35以上の場合に、保険診療で使えることになります。

2つ以上の健康障害とは、

1) 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
2)脂質異常症
3)高血圧
4)高尿酸血症・痛風
5)冠動脈疾患
6)脳梗塞・一過性脳虚血発作
7)非アルコール性脂肪性肝疾患
8)月経異常・女性不妊
9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10)運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
11)肥満関連腎臓病

のうちの2つ以上のことを指します。

医学的には、肥満は個性の範囲と考えてよいと思いますが、肥満によって、以上の11項目のような健康障害が存在する場合、「肥満症」と呼ぶべきで、治療が必要な「病気・疾患」ととらえるべきという考え方です。BMI>35ですと健康障害が発生する可能性が非常に高く、それだけで治療の対象となります。ウゴービ皮下注射が使えるようになるまでは、現在当院ができる治療を継続して参ります。

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