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冷え性

[2024.02.06]

昨日は東京都心に8cmの積雪がありました。連日寒い冬が続いております。クリニックにも冷え性の方が増えてきています。

西洋医学では、冷えを問題にすることがなく、冷え性に使う薬も存在しませんが、漢方では体の冷えの治療について、2000年の間考えてきたと思います。冷え性は漢方では冷え証ともいい、ひとつの医学的な症候と考え、処方選択をします。診察室で私はときどき冷え性の患者さんの手を握ってみることがありますが、氷のように冷たい手をしている人がいらっしゃいます。男性にも女性にもいます。触ってみることも患者さんの冷えを把握するのに有効ですが、主観的に冷えで患者さんが困っているのであれば、治療の対象と考えていいと思います。

冷えは大きく分けて、末しょう循環が低下している場合と、新陳代謝が低下している場合とに分けられます。末しょう循環が低下している場合は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)がよいです。この長い名前のお薬は、桂枝湯に当帰と呉茱萸と木通と細辛を加えたものです。桂枝湯の主役は桂皮と芍薬であり、これに大棗(なつめ)生姜(しょうが)甘草を加えたものです。桂皮は温めて発汗させる薬能、芍薬は鎮静させ、筋肉を緩める薬能があります。この2つが等分に入っており、自律神経を整える作用があります。これに、血を巡らせる当帰、温めて痛みを取る呉茱萸、木通はアケビのつるのことで利尿作用があります。細辛も温める薬能があり、全体的に血を巡らせて温める方剤です。冬にしもやけができるような、手足の冷えがある場合に特に有効な薬です。

一方で、新陳代謝が低下したような特に高齢者の冷え性には附子を含んだ真武湯が良いです。利尿効果のある茯苓、朮を含んでいるので、めまいや下痢、むくみなどを伴う場合に有効です。また、若い女性でやせており、月経不順やむくみを伴う場合は当帰芍薬散がよいです。

当院は漢方診察として舌診と腹診を行っています。舌に歯の跡がついている場合は水毒、水があふれている状態と考えます。また、腹診で臍の斜め下が膨れていて、軽く押しただけでも痛みを感じる場合は末しょう循環不全があると考えます。このような場合に、当帰芍薬散が有効な可能性が高いと考えます。

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