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スマートウォッチで血糖測定が可能ですか?

[2024.03.08]

皮膚への穿刺をせずに、血糖測定をしたり血糖変動を把握したりすることが可能であると謳っているスマートウォッチやスマートリングが通信販売などで販売されています。これらのスマートウォッチ等について、当院でも問い合わせを受けることや、実際に購入してみたという患者様がいらっしゃるようになりました。

スマートウォッチ+血糖値で検索をしますと、血糖値が測定できるとされているスマートウォッチが楽天などの通信販売にて、10000円程度の価格帯で購入できます。このほとんどが中国製のもので、実際には血糖値との相関があまりなく、日中の食事の時間帯に高くなるような設定がなされているものもあるようです。

スマートウォッチの代表であるApple Watchについては、現時点で血糖値を測定する機能は付帯しておりません。

FDA(アメリカ食品医薬品局)は2024年2月に声明を出し、FDAは血糖測定や血糖変動を把握できるスマートウォッチを承認したことはなく、これらの機器は実際の血糖値を正確に測定することができず、このデバイスを使って糖尿病管理を行うことは、実際の血糖値よりも高い測定値が出た場合、インスリン注射などが過量になってしまい、生命にかかわるような重大な低血糖を引き起こす可能性がある、とまで強く警告しています。

一方、アボット社から発売されているフリースタイルリブレは普及しておりますが、これは1.5cmの針を一度穿刺し、やわらかいエラスティックチューブを残して、間質液のグルコース値を連続測定していますので、比較的信頼できる値が得られます。しかし、血糖値そのものではなく、あくまで推定値(グルコース値)ですので、実測の血糖値と比較して20-30mg/dL程度の誤差はよく出ますし、血糖値の動きからは10分程度遅れるのは事実として認められますので、低血糖の評価は指先穿刺による血糖測定を行う必要があります。

医療機器の進歩は目覚ましいものがありますが、現時点(2024年3月時点)では、針の穿刺なしに、血糖値を測定する信頼できる機器はないと考えております。あらたに信頼できる非侵襲的な(穿刺をしない)血糖測定の技術が出ましたら、こちらのコラムに上げる予定です。

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