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防風通聖散ってやせ薬、もらえませんか?

[2023.03.15]

当院は肥満外来も行っておりますが、多くの患者さんが、ツムラの62番をくださいといって来院されます。

ツムラの62番は防風通聖散という漢方薬です。漢方薬は2つ以上の生薬を配合したものですが、防風通聖散に含まれている生薬は
当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、山梔子(サンシシ)、連翹(レンギョウ)、薄荷(ハッカ)、生姜(ショウキョウ)、荊芥(ケイガイ)、防風(ボウフウ)、麻黄(マオウ)、大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)、白朮(ビャクジュツ)、桔梗(キキョウ)、黄芩(オウゴン)、甘草(カンゾウ)、石膏(セッコウ)、滑石(カッセキ)

と18の生薬が配合されており、保険で使えるエキス剤の中では最多です。(漢方薬1剤に含まれる生薬は、平均すると7つから8つくらいが多いです。七味唐辛子も生薬数7つですね。)

まず、大黄と芒硝が含まれていることに注目です。大黄は、センノシドやプルゼニドに含まれるセンノシドを含んでおり、古来から下剤として使用されております。また芒硝は硫酸マグネシウムであり、便を柔らかくする緩下薬としての作用があります。ということで、実はこのお薬は下剤の仲間であり、保険病名も「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなもの。」となっています。あまりにも痩せて虚弱な人が飲むと、下剤に伴う腹痛が起きることがあります。このことからもBMI<22なんだけど、もっと痩せたいので防風通聖散が飲みたい。という方にはあまり適していない可能性が高いです。(BMI:体格指数とも呼ばれる。体重kg ÷身長m÷身長mで計算される)

適応は、BMI>25で、実証といって、比較的体力があり、筋肉質でがっちりタイプ、声が大きく、暑がりで胃腸が強くて、便秘がちな人に適した漢方薬と言えると思います。

当帰、芍薬、川芎は、補血(血を補う)に関係する生薬です。また当帰があって地黄を含まない漢方は、駆お血作用といって、末梢循環を改善する作用があるといわれております。荊芥や連翹は皮膚疾患に使う生薬、石膏があるので、冷やす漢方薬であるといえます。山梔子や黄ごんは炎症を取って気を静めます。防風も抗炎症作用です。全体として熱を取りながら循環を良くして、皮膚も整えるイメージです。17剤も入っているお薬ですから、速効性というよりは、ゆっくりとじわじわ体質改善をするというイメージですね。

太っている方が食事はたくさん食べる食事を続けて、防風通聖散を内服すると体重が減るということはまず期待できません。減量のため食事について何か変えるということに取り組んで、そのうえで漢方薬を飲むことでミラクルが起こることは十分あります。

ということを外来では説明して、納得したうえで、この防風通聖散を飲んでもらっております。

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