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SGLT-2阻害薬

[2022.06.16]

SGLT-2阻害薬(そして、GLP-1受容体作動薬)が出るまでは、体重を減らしてくれる糖尿病の薬というのはありませんでした。ですので、この薬の作用機序に非常に驚いた記憶があります。

70歳ぐらいまでの比較的若くて、肥満がある(BMI>25)2型糖尿病患者さんに、とても良い結果を示します。なにしろ、体重が減って、血糖値が改善するからです。

しかしながら、この薬は、これまでの糖尿病の薬と比較してやや癖があるといいますか、有害作用がそこそこ起こるので、注意して使わないといけません。

まず、高齢の女性に対して使いますと、ときどき膀胱炎症状を起こします。膀胱炎を起こしたことがある女性は、ほぼSGLT-2阻害薬で再発しますので、使わないほうがよいです。また、この薬は、血糖コントロールが十分ついていない患者さんに用いると、インスリン・グルカゴン比を低下させるためケトン体が上昇し、正常血糖ケトアシドーシスを引き起こす可能性があります。極端な糖質制限を行っている患者さんや、食事摂取が少なく痩せ傾向の患者さんにも要注意です。

この薬を処方した時には、「気持ち悪くなったり、だるくなったり、具合が悪くなったときはすぐに連絡してください。念のため、2週間後に再診をしてください。」とお伝えしますが、この薬が必要な方の多くは、お仕事が忙しい若年の男性患者さんであることが難しいところです。

この薬に限らずですが、糖尿病の内服薬は、食事がとれない、いわゆるシックデイの場合は休薬する必要があります。飲み続けると、上記のケトアシドーシスのリスクがあります。

また、一部薬剤は1型糖尿病に対して適応になっておりますが、これまでの専門医としての経験から言いますと、痩せている方が多い日本人の1型糖尿病に使いますと、インスリンの必要量が減って、ケトーシスやケトアシドーシスのリスクが極めて高いので、よほど肥満傾向があって手がない場合を除いて使わないほうがよいと思っています。

このようなことを考えながら、患者さんを選んで注意して使えば、怖い薬ではなく、肥満合併の2型糖尿病患者さんに非常に有用な薬です。これまで得られているエビデンスは、欧米の、肥満度が高い人の集団であることを踏まえ、適切な患者さんを選んで使用していきたいものです。

 

 

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