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インフルエンザ・マイコプラズマ肺炎2024-25冬

[2024.12.29]

明けましておめでとうございます。2025年も引き続きよろしくお願いいたします。東京都では、2024年12月16日から12月22日のインフルエンザ定点医療機関からの患者報告数が1医療機関当たり40.02人となり、警報基準を超えました。これにより、都内はインフルエンザの流行期に入っています。

当院でも12月後半は多くの発熱患者さんが来院され、そのうち50-70%がインフルエンザA型の診断となった印象があります。そのほかにも、コロナ陽性の方や、インフルエンザ陰性、コロナ陰性の患者さんも増えており、一般的な風邪やその他のウイルス感染症も混在しています。

インフルエンザの迅速診断キットによる検査では、発熱後すぐに検査を実施するとウイルス量が十分に増えていないことがあり、その結果として陰性が出ることがあります。これは検査キットの感度に影響を与えるタイミングの問題です。他院で検査を受けた後に当院でインフルエンザA型と診断されたケースも複数あり、このタイミングの問題が要因と考えられます。流行期では陰性結果でも、状況からインフルエンザの可能性が濃厚な場合、みなし陽性として抗ウイルス薬を処方することがあります。

また、体重が80kg以上のインフルエンザA型の患者さんには、ゾフルーザを2錠ではなく倍の4錠が必要となるため、その場合は点鼻薬のイナビルを処方することも検討しています。今後、ゾフルーザの供給不足が懸念され、多くの患者さんに薬を届けるための対応が求められると感じています。

インフルエンザ治療薬は発症時に1回限りの投与となります。熱が続くからとタミフルの追加投与を希望される方もいらっしゃいますが、抗ウイルス薬はウイルスの複製を抑える作用を持ち、インフルエンザウイルスは発症から24~48時間で急速に増殖します。そのため、初期段階での投与が重要であり、遅れて追加投与しても既に感染した細胞を排除する効果はありません。したがって、48時間以内の投与が必要であり、それを過ぎると保険適応外となります。我々保険医はゾフルーザやイナビルの添付文書に従って処方しなければなりません。

マイコプラズマ肺炎についてです。全国の定点医療機関からの報告数が1999年以降で過去最多を更新しました。マイコプラズマ肺炎は、オリンピックイヤーに流行するとかつて言われていましたが、パリオリンピックのある2024年に流行したのは不思議な過去への回帰かもしれません。4年ごとというのは免疫が切れるまでの期間を表している可能性がありますが、コロナ禍のマスク政策によりマイコプラズマ肺炎への免疫を持つ人が減った可能性も考えられます。患者が非常に増えたため、マイコプラズマ肺炎の迅速診断キットについては、当院では11月頃から卸業者からの入手ができなくなりました。

現在、当院では疑い患者さんに対してレントゲン撮影を行っており、マイコプラズマ肺炎に特徴的なすりガラス影と呼ばれる陰影が見られるケースが多く、これに基づいてマイコプラズマ肺炎の可能性が高いと説明しています。この場合、ラスビックやジスロマックを代表とする抗菌薬の投与が必要となります。臨床症状とレントゲン所見が揃えば、診断と治療は可能であり、かならずしもキットが必要とはいえません。12月になってマイコプラズマ肺炎はようやくピークを越えたようですが、引き続き非定型肺炎と思われる患者さんは多く、レントゲンを撮る場面が今後も多いでしょう。

あけましておめでとうございます。2025年も引き続きよろしくお願いいたします。

 

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