メニュー

MRHEによる低ナトリウム血症

[2023.06.17]

90歳の女性、Aさん。高血圧のため、近所の内科医院で薬をもらっていました。最近倦怠感が強く、食事量が低下して、寝ていることが増えていたのを家族が心配しておりました。総合病院の内科を受診し、採血をしたところ、血液中のナトリウムが125mEq/Lと低い値でした(ナトリウムの基準値は135~145mEq/L)。総合病院の医師は、普段内服しているARBというお薬を飲んでいることに着目し、ARB中止を指導しました。その後、2週間後の採血で血液中のナトリウムが改善していることが確認され、倦怠感の症状もよくなったため、かかりつけの医院に病院から紹介状が出て、ARBの中止を継続することになりました。

高齢者に低ナトリウム血症が起こることが知られておりますが、血圧の薬でARB(アルドステロン受容体ブロッカー)が入っている場合が多いです。高齢者では、腎臓の尿細管からナトリウムの再吸収能力が低下していることが多く、代償的に、アルドステロンによるNaの再吸収が頑張って、体内のNaの保持がされていることが多いです。その状態でARBのように、アルドステロンの作用をブロックする薬が入ると、低ナトリウム血症が顕在化(表に現れること)になります。

このような状態では、ARBではなく、カルシウムブロッカーというお薬が安全に使用できます。Aさんも血圧の薬が必要なので、カルシウムブロッカーに変更して、その後低ナトリウム血症は再発しませんでした。

当院では電解質を定期的に測定しており、高齢者の低ナトリウム血症への治療を行っております。本文のような症状の方がおられましたら、ご相談ください。

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME