漢方薬はかなり役に立ちます
現代の医学はかなり進歩しているのは間違いなく、多くの人がその恩恵を受けていると思いますが、患者さんからみると、なにか足りないような気がしている方が多いと思います。腰が痛い、足がしびれる、よる途中で目が覚めてしまう、汗をかいて困っている、動悸がするなどの訴えに対して、必要な検査を追加して、陰性だったとすると、その病気ではないということは説明できますが、それ以後続く患者さんの訴えに対して、西洋医学では不十分であるということは、医者も患者さんも感じていることではないでしょうか。
厳密には漢方薬とは言えないかもしれませんが、正露丸や救心などの大衆薬には強固なエビデンスはないかもしれないのですが、国民的大衆薬として生き残ってきたのはある程度の効果を国民が認めてきたからだと考えております。
漢方医学は今から1800年前に中国で張仲景が傷寒論を著し、葛根湯などの現在の多くのツムラ漢方薬の配合比率もここに記載されております。そのあと中国や韓国から日本に渡来し、日本で独自の進化を遂げて現在に至っています。徳川家康が自分で生薬を調合し内服していた漢方マニアだったこともあり、特に江戸時代には多くの漢方学者が出て、漢方医学が発達しました。一方、江戸時代にはオランダから医学が伝えられましたが、オランダ医学を蘭方、それまでの生薬の医学を漢方としました。漢方は、中国から伝えられ、わが国で発展してきた医療です。
西洋医学が今ほど発達していない時代には、そのときその地方で入手できる生薬のバランスでなんとか患者を治療しようとしたわけで、生薬の配合比率が現在に伝えられており、その経験の蓄積は、現代でも役に立つと考えております。
例をあげますと、下剤として広く使われているセンノシドは、もともと生薬の大黄から有効成分を抽出したものです。センノシドよりも、大黄の方が、作用がマイルドで、腹痛が起こりにくい印象があります。一部の漢方薬はこのように有効成分が近代に入って分かったものがあります。
ツムラやクラシエなどのアルミ包装されたエキス剤が開発されたことで、安定した品質で、保険診療で処方できるということが可能になっております。まず西洋薬で治療してみて、あるいは西洋薬で対応できないお体の悩みに対して、漢方薬はかなり役に立ちます。
漢方薬の飲み方ですが、適温のお湯に溶かして飲むとよいと思われます。特に風邪で葛根湯などの処方が出た場合は、体を温める意味でなるべく熱いお湯に溶かして飲むとよいです。多くの高齢者は体の冷えを感じていらっしゃいますので、その場合もお湯に溶かすのが良いと思います。それ以外の場合で、急いでいるときは、水でも、直接粉をお口に入れて水で飲むでもよいと思います。
漢方薬は薬と健康食品の中間のようなものなので、食前内服の方が好ましいとされていますが、食後でも効果はあると思います。
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