風邪には葛根湯?
当院に通院しているAさんは漢方はあまり効かないと言っています。
「以前、風邪をこじらせて、1週間たっても咳とのどの痛みが続いたんですよ。薬局で葛根湯を勧められて、飲んでみたけど全然効かなくて。それからは眠くなるけどパブロンとか、普通の市販の風邪薬を選んでいますね」
このようなご意見の方は結構多いのではないかと思いますが、そもそも葛根湯は風邪のひき始めに有効であり、葛根湯が有効なのは風邪をひいて、せいぜい3日間ぐらいです。それ以後、高熱は出なくなったものの微熱が続く場合、咳や痰などの呼吸器症状、倦怠感が続いているとき、9番小柴胡湯や10番柴胡桂枝湯の出番になります。
小柴胡湯は、柴胡、黄芩(オウゴン)、半夏、人参、甘草、大棗、生姜の7味からなります。
もうひとつよく似た漢方薬に11番 柴胡桂枝乾姜湯がありますが、こちらは強く温める乾姜(湯通ししたショウガ)を含んでおり、明らかに冷えを伴っている虚証の患者さん向けの漢方になります。小柴胡湯に半夏厚朴湯を合わせた柴朴湯、小柴胡湯に桔梗、石膏を加えた小柴胡湯加桔梗石膏は、長引く咳に特に有効でよく使います。風邪をひいて微熱が3日以上続く患者さんには、柴胡桂枝湯が有効な場合があります。漢方は患者さんの症状と、体質を見たうえで処方すれば、風邪には結構有効だと思っています。