メニュー

糖尿病標準診療マニュアル

[2023.11.10]
医師はそれぞれ、得意な分野、つまり専門領域というものを持っております。私の標ぼうしている内科のなかにも、それぞれの領域の専門家がいて、例えば心臓の専門家、呼吸器の専門家、腎臓の専門家、神経の専門家などがあります。現代の医学の知識は膨大に広がっており、昔のように、ひとりの医師がオールラウンドの知識をすべて網羅することは、非常に困難になってきております。
糖尿病を専門としない多くの医師にとって、一番知りたいことは、どこまでが一般内科医としての守備範囲なのか、これ以上は専門医に紹介したほうが良いのか、という線引きだと考えられます。
 
 
 
上のリンクは、日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が年に1回改訂しオンライン上に無償で提供している、一般医家向けの糖尿病診療マニュアルです。
糖尿病患者さんが来られた時、採血をして、HbA1c 9.0%以上、または、血糖値が300mg/dL以上であれば、インスリンの導入を考慮し、専門医に紹介と書かれています。実際、わたくしの外来でも、インスリン導入はこの基準に近いところで行っており、現場の肌感覚に近いものがあります。このマニュアルの一つのメッセージが、初回のインスリン導入は専門医が行うというところと、インスリンが必要な患者さんを非専門医が診てゆくことを妨げていないところだと思います。
経口薬の使うポイントについても、簡潔ですが漏れがないようにまとまっています。
①メトホルミンは250mg錠を2錠からはじめ、徐々に9錠まで増量すること、不定の消化器症状の出現に注意する(徐々に漸増する)、腎機能ごとにメトホルミンの最大量が異なること
②DPP4阻害薬は腎機能に応じて適切な量を投与すること、SU薬に上乗せする場合はSU薬を減量すること、水疱性類天疱瘡を惹起する可能性があり、疑った場合は投与を中止すること
③SGLT2阻害薬については、使い方がやや難しいため、学会のリコメンデーションに沿って、注意すべき点が記載されていること(心血管病の既往がある場合や心不全、アルブミン尿などで使用が推奨されること、使用開始にあたっては糖質制限を避けるよう注意すること、食事がとれない場合や術前には休薬が必要なこと等)
④一般内科医は肥満を合併した2型糖尿病に対し、リベルサス(経口GLP-1)は積極的に使い、注射のGLP-1製剤については専門医に任せること
などが記載されております。糖尿病薬は一般内科医から見てもやや使い方が難しいところがあり、診察室でマニュアルを参照することでより安心して、患者さんにとっては安全に糖尿病治療に手が出せるようになることが期待できると思います。
 
 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME