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グルコーススパイクは「悪」なのか? 血管が傷つくって本当ですか?

[2025.07.23]

「血糖値が急に上がると血管が傷む」
こんな話を聞いたことはありませんか?これはいわゆる「グルコーススパイク」と呼ばれる現象で、最近ではテレビや健康番組でもよく取り上げられています。

今回は、この「グルコーススパイク」が本当に血管を傷つけるのか、またどこまで気にすればいいのかを医学的なデータも交えながら解説し、今日からできる具体的な対処法もご紹介します。


◆ グルコーススパイクとは?

「グルコーススパイク」とは、食後に血糖値が急激に上昇する現象を指します。特に朝食後や、炭水化物を単品で急いで食べた時に起きやすくなります。

このスパイクが繰り返されると、血管内皮が障害され、動脈硬化のリスクが高まるのではないかと指摘されています。


◆ 血管に対する影響は本当?

はい、ある程度は本当です。
たとえば、ヨーロッパでの大規模研究「DECODE study」では、空腹時血糖よりも食後2時間の血糖値の方が心血管死亡と強く関連していたと報告されています。

日本でも舟形研究などで、食後高血糖が頸動脈の内膜中膜肥厚(IMT)と関連していることが確認されています。


◆ でも、グルコーススパイクが「主犯格」かというと…

ここが重要なポイントです。動脈硬化の原因はひとつではありません。多くの要因が絡み合って進行していくのです。

現在、一般的に考えられているリスク因子の寄与率は次のように推定されています:

リスク因子 動脈硬化への寄与率(目安)
加齢(避けられない) 約30%
高血圧 約20%
LDLコレステロール高値 約15%
喫煙 約10%
グルコーススパイク 約5~10%

つまり、グルコーススパイクは気にすべき要因の一つではあるものの、それ「だけ」を気にしても意味がないのです。


◆ では、何に気をつければいいの?

グルコーススパイク対策も含めて、次のようなことを意識するとよいでしょう:

🔸 1. 食事の順番を見直す

野菜やスープを先に食べてから、炭水化物をゆっくりと。これだけでもスパイクはかなり抑えられます。

🔸 2. 単品食い・早食いをやめる

特に朝、おにぎり1個だけ、パンだけ、などの炭水化物単品を急いで食べると血糖は急上昇します。

🔸 3. 血圧とコレステロールを放置しない

グルコーススパイクよりもむしろこちらの方が動脈硬化のリスクが高いことも多いです。

🔸 4. タバコをやめる

これは説明不要ですね。タバコは血管をボロボロにします。


◆ 医師としてのひとこと

グルコーススパイクは確かに「血管をじわじわ傷める要因」にはなりえます。ただし、それだけを悪者にせず、全体を見てコントロールしていくことが大切です。

糖尿病でなくても、IGT(境界型)でもリスクはあります。だからこそ、早めに生活を見直しておくことで、将来の心臓病や脳卒中のリスクを“遅らせる”ことができます。


◆ まとめ

  • グルコーススパイクは血管に悪影響を与えうるが、主犯格ではない

  • 高血圧や脂質異常、喫煙なども同時にチェックすることが大切

  • スパイク対策としては、「何を」「どう食べるか」がカギ

  • 「血糖値は食後にしか上がらない」人も多く、空腹時正常でも安心できない


気になる方は、一度血糖の「食後の動き」をチェックしてみるのも良いでしょう(リブレなどの活用もおすすめです)。

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