カーボカウントは難しくない
1型糖尿病患者さんに
1型糖尿病患者さんは、以前は2型糖尿病と同じような厳しい食事制限が課せられることがありました。特に若い女性の場合、ただでさえ痩せているのに食事指導が加わり、また、血糖測定を行うことで食後の血糖上昇にも敏感にならざるを得ないため、摂食障害になってしまう例もあったのです。
食事に合わせたインスリン量の調節
これに対する反省もあり、1型糖尿病をもつひとは、基本的に健常者と同じように食事は最終的にはフリーにするのを目指す、その目的のために、カーボカウントを導入するということが推奨されるようになりました。カーボカウントとは、インスリン量を固定して食事も固定するのではなく、食べる予定の食事量、そのなかでも糖質量に応じて追加インスリン量を調節する追加インスリンの調整のことです。基礎インスリンについては変えません。
例えば、インスリンカーボ比が1単位あたり10gの患者さんでは、ごはん200gを食べると、糖質では80gに相当しますので、8単位の超速効型インスリンを注射するということになります。
インスリンカーボ比は実際に患者さんに固定でインスリンを打っていただき、コントロールが良好になったポイントで計算をしますが、多くは超速効型インスリン1単位あたり5から10gの間になります。いろいろな理論があるのですが、わたしは実際やってもらって、修正を加えてゆくやり方が良いと思います。糖質代謝は人それぞれです。さらに、血糖値でスケールをかけて、200mg/dLを超えている場合段階的に注射の単位数を増やすと、次の測定ポイントで、目標の100-140mg/dlに入るように調節することができます。
2型糖尿病の方でもカーボカウントをするのか?
ひとことだけ追加しますと、2型糖尿病患者さんで、インスリン分泌がある程度ある方については、インスリン注射のカーボカウントを行いません。カーボカウントを行って食べた分だけ注射をするということになると、摂取エネルギーが増えてゆけば体重が増えてしまいます。カーボカウントは、1型糖尿病のような、インスリン内因性分泌が低下しており、インスリン頻回注射が必要な患者さん向けのインスリン単位調整法とお考え下さい。
カーボカウントはそこまで難しくありません
食事の糖質量をカウントするというのは一見難しいようにも感じられるかもしれませんが、主食は、パン、ごはん、麺類その他と種類は限られているので、主食を食べる量をカウントするのは、それほど難しいことではありません。
当院では、管理栄養士が常駐しており、医師と連動してカーボカウント法の指導を行っております。患者さんの達成状況をみながら段階をへて指導を継続して行っておりますし、わからないことは気軽にわたしたちに聞くことができます。
1型糖尿病で、血糖管理目標未達成と思われる方は、カーボカウントを一度学んでみてはいかがでしょうか。当院の受診をお待ちしております。