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イメグリミン

[2022.06.30]

2021年9月に、新しい糖尿病の飲み薬であるイメグリミンが発売され、処方ができるようになりました。このお薬は、メトホルミンの展開化合物を多数作っていたところ、偶然にも、ミトコンドリアに働き、インスリン抵抗性を改善するだけでなく、インスリン分泌を改善させる作用も持つ化合物が見つかったということで、大変ユニークな作用をもつお薬です。これまで、インスリン分泌を改善させる薬はSUまたはDPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬であり、抵抗性改善薬はメトホルミン、チアゾリジンと別れていたわけですが、両者持っている薬というのは初となります。

イメグリミンの構造としては、メトホルミンにかなり似ている構造になっていて、メトホルミンとの違いは、グルコース濃度依存的にインスリン分泌促進作用がある、乳酸アシドーシスが起きないとされているところです。

メトホルミンとの併用も可能ですが、消化器症状が有意に増えるデータがありますが、併用する意義については今のところ明らかにはなっていません。トルリシティなどのGLP-1受容体作動薬を使っている患者さんではあまり効果がなかったというのが気になる点です。この原因についてはよくわかっておりませんが、GLP-1受容体作動薬との併用は控えたほうがよいでしょう。

腎機能の悪い方に投与することについては、メトホルミンはeGFR 30未満が禁忌(使用してはいけない)となっておりますが、イメグリミンについてはeGFR 45未満は投与を推奨しないという書き方になっております。実際は腎機能低下例には使わないほうがよいでしょう。

個人的に、この薬に期待することは、ミトコンドリアにはサーチュイン1遺伝子があり、これが長寿に関係するといわれておりますが、イメグリミンはこの遺伝子を活性化することがわかっております。糖尿病の血糖値を改善する以外に、健康寿命を延伸させるなどの好ましい作用があるのか、今後明らかになるのではと期待しております。

また、新しいお薬については、法律で1年間は2週間処方しかできない決まりになっております。発売から1年たつと、長期に処方ができるようになります。新薬の安全性を担保する取り決めになります。イメグリミンについてお尋ねになりたい方は、院長までお申し出ください。

 

 

 

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