バセドウ病のくすりっていつまで続けるんですか?
バセドウ病の患者様によく聞かれる質問です。バセドウ病の薬物療法はどれぐらいの期間を継続すればよいのでしょうか。
バセドウ病は甲状腺機能が正常化してから、メルカゾール5mg を1日当たり3錠→2錠→1錠と減らしてゆきます。1錠にして数か月以上安定していることを確認して、以前は偶数日または奇数日の内服に減らしておりました。この隔日投与をどれぐらいの期間行うかについてですが、少なくとも半年以上引き延ばしたほうが、再発率が下がるとのエビデンスが出ております。再発は
ある程度の確率で起こりえますが、患者様に大きな負担になるため、なるべくなら再発率を減らしたいと考えております。したがって、バセドウ病の発症から、トータルの薬物療法期間は少なくとも1-2年ぐらいは継続が必要となります。しかし、2年経過してもメルカゾールが1錠ぐらいでやめられない場合、アイソトープ治療や手術が推奨されます。しかし、アイソトープ治療はバセドウ眼症の悪化が、手術は術後の合併症のリスクがあり、メルカゾールの少量長期投与も検討されるべきと思われます。
このようにバセドウ病の薬物療法は根気が必要な治療であり、患者さんにはよく説明して治療をおこなっております。
朗報としましては、2021年から、メルカゾール2.5mgが発売されました。隔日投与が難しい方は、メルカゾール2.5mg連日投与のほうが楽な場合があり、維持療法の選択肢が増えました。
また、喫煙はバセドウ病の再発率を上げますので、禁煙が必要です。喫煙は眼症の悪化要因でもあり、メルカゾールが効きにくくなる要因にもなります。禁煙を根気よく続けて頂くことが必要です。