コロナが再び、身近なところに
2025年7月上旬現在、ここ最近、当院でも新型コロナウイルスの患者さんが再び増えつつあります。少し前までは、週に2~3人ほどのペースで推移していたのですが、今週に入ってからは「1日で2~3人」という日も出てきました。明らかに、増加の兆しがあります。
全国的にも、定点観測(特定の医療機関だけで数をカウントする方式)での報告数がじわじわと増えています。たとえば東京都全体の平均は「1医療機関あたり0.86人」ですが、江戸川区ではすでに「2.1人」となっており、かなり目立っています。さらに沖縄では「5人を超えた」との報道もあり、これを見るかぎり、7月から8月にかけて大きな波が来るのは、ほぼ間違いないと感じています。
今のコロナは、重症化するケースが以前よりも少なくなっていますが、高齢者や体力の落ちている方にとっては、依然として注意が必要な感染症です。また、若い方でも「強い喉の痛み」から始まり、その後に咳が続くケースが多く、通常の風邪とは違った「パンチ力」を感じます。
最近の傾向として気になっているのが、「症状の長引きやすさ」です。発熱は出ないか、出ても2日程度で治まるのですが、そのあとに続く咳や喉の違和感が、10日以上も残る方が目立ってきています。これは今回流行しているコロナ株の特徴かもしれませんし、暑さや睡眠不足といった日常の体調とも関係しているかもしれません。いずれにしても、軽い風邪と油断せず、症状が長引く場合は一度ご相談いただくことをおすすめします。
現在流行しているコロナの多くは「JN.1」や、その派生株である「KP.3」などと考えられています。以前の株に比べて重症化はしにくくなっていますが、のどの痛みや咳が長引きやすく、感染力も非常に強いのが特徴です。すでにかかったことのある方でも再び感染することがあり、体調がすぐれない場合は早めの対応が大切です。
とくに大事なのは、体調管理と睡眠です。ウイルスに負けないためには、まず自分の身体の調子を整えること。これは原則ですが、こういうときほど大切にしていただきたいと思います。
それから、このウイルスは「夏にも流行する」という特徴があります。いわゆる“クーラー病”に似た性質もあるのかもしれません。今年の冬にはインフルエンザとともに大流行した記憶が新しいですが、「コロナ=冬」という固定観念にとらわれず、夏の体調管理にもぜひ目を向けていただければと思います。
皆さまが健康にこの夏を乗り切れるよう、日々の診療を通してサポートさせていただきます。