チアゾリジン
チアゾリジン薬は、脂肪細胞に作用して、インスリン抵抗性を改善する薬です。脂肪細胞の核内受容体PPARγ(ピーパーガンマ)に結合し、脂肪細胞から分泌されるさまざまな物質(アディポサイトカイン)のうち、悪玉のアディポカインとして、インスリン抵抗性を惹起する物質(遊離脂肪酸(FFA)、TNF-α、レジスチン)の分泌を減少させます。そして、インスリン感受性を改善する善玉のアディポネクチンの分泌を増加させることで、インスリン抵抗性を改善させると考えられてきました。
現在使用できるチアゾリジン薬はアクトス(一般名:ピオグリタゾン)のみとなっております。
一人ひとりに合ったお薬を
メトホルミンとならぶインスリン抵抗性改善薬で、発売当初はとても期待された薬剤で、使用頻度も高かったです。しかし、現在では、有害作用の発現が少なくないため、限られた患者様に使われております。
有害作用のその1ですが、ピオグリタゾンを使いますと、水分がからだに溜まってゆく傾向が認められており、心不全の患者さんには使ってはいけません。
その2ですが、ピオグリタゾンを長期に使用しますと、体重が増加する傾向が認められています。チアゾリジン薬中止により、体重が減少するケースも何例も経験してきました。
その3に、ピオグリタゾンにて骨折リスクの上昇が認められます。
製薬特許が切れ、メーカーがあまり力を入れなくなってから、処方頻度が激減しております。糖尿病患者さんの初めての内服薬としては、まず使用されません。