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SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬

[2022.07.17]

いま振り返りますと、私が医師になったころは、糖尿病の治療薬は非常に限られておりまして、SU、メトホルミン(ただし最大量750mg/日の低用量のみ)、チアゾリジン薬、アルファグルコシダーゼ阻害薬のみでした。2010年代に入ってから、表題のSGLT2阻害薬と、GLP-1受容体作動薬(GLP-1製剤)が使用可能となり、糖尿病治療の選択肢が広がりました。

SGLT2阻害薬は、腎臓のグルコース再吸収機能をブロックする結果、1日当たり75g、約300kcalの尿糖を毎日排泄させることで、血糖値を下げ、体重を低下させる作用のある薬です。体重を低下させる薬なので、比較的若く(75歳以下が望ましい)、肥満傾向で(できればBMI>25以上)、お元気な方に使用したい薬です。逆に、高齢で、やせ型のひとには、筋肉量を低下させる可能性があり、使用できません。1型糖尿病の方にも適応のある薬剤がありますが、ケトン体上昇などの有害事象がかなりの頻度で起きますので、肥満傾向がある1型糖尿病以外には、使用しない方がよいと思っています。

2015年の臨床試験で、エンパグリフロジン(ジャディアンス)が、糖尿病をもつひとに起きる心血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞)を低下させるという結果が得られ、その後、心不全や、腎不全に対して有利に働くのではないかという臨床結果から、循環器内科の先生方も非常に注目するようになりました。ただし、これらのエビデンスは、主として欧米の肥満の強い糖尿病患者、しかも平均年齢60代の患者群での臨床試験ですので、特に日本人の高齢者では、患者ごとに適応を慎重に見極めるようにしております。

GLP-1製剤は、週1回の注射薬であるデュラグルチド(トルリシティ)、セマグルチド(オゼンピック)が処方できるようになり、使いやすくなりました。日本人で非常に多く使われているDPP4阻害薬と作用機序は似ておりますが、薬理学的なGLP-1アナログの血中濃度がDPP4阻害薬と比べてはるかに上昇するため、血糖低下作用や食欲抑制作用、体重減少作用があきらかに強く認められます。自己注射導入によりHbA1c 1%以上の低下が認められる患者さんも多く経験しました。このお薬も、できれば肥満のある患者様に入れたいお薬です。「インスリンではないですが、注射する糖尿病のお薬ですよ」と説明しておりますが、最初は半信半疑で使用される患者様も、次回受診日のHbA1cを見ると納得され、安心して使われる方が多くいらっしゃいます。

患者様の特徴を見極め、適切な薬剤をアドバイスしてゆくのがわたくしの仕事です。薬に関しては、なんでもご相談ください。

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