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GIP/GLP-1 両者に作用するアナログ製剤

[2022.07.07]

いまから100年前には、インクレチンという血糖を下げるホルモンが消化管にあるのではと予言されていました。なぜなら、ブドウ糖を飲んでもらうのと、注射するのでは、飲んでもらうほうがすい臓からインスリンが分泌され、血糖値が下がりやすいからです。消化管に栄養素が入ると、インスリンを分泌させるようなホルモンが出るのでは?と予言されていたのです。

たしかに、すい臓ベータ細胞は、血糖依存性にインスリンを分泌しますが、食後で血糖値が上がり始めたのを感知してからでは、インスリンが出て行っても食後の上昇をきれいに抑えることができないと思われますので、消化管から何らかのシグナルがでると考えるのは自然なことです。

そこで、1970-1980年代にみつかってきたのが、GIPとGLP-1という2つのホルモンでした。2010年代には、GLP-1受容体作動薬が出現、GLP-1のアミノ酸配列を改変して、外部から注射しても、GLP-1のように酵素で簡単に分解されないアナログ製剤が出現しました。GLP-1は、すい臓に働きインスリンを分泌させるだけでなく、血糖値を上げるグルカゴンを抑制する作用があります。また、胃のなかの食べ物を腸に送り出すスピードを下げる、つまり、胃の動きを遅くする効果があり、この結果、急激な血糖上昇が抑えられる働きがあります。また、一部のGLP-1は脳にも働き、食欲を抑制する作用があるということもわかってきました。

一方のGIPですが、これまでは血糖値に対してマイナスの作用があると考えられてきました。つまり①グルカゴン分泌を抑制せず、むしろ増加させること②脂肪細胞に脂肪を蓄積する働きがあり、体重増加につながる可能性 この2つの理由からでした。しかし、主としてGIPに作用するといわれるdual agonistとよばれるTirzepatideは、GIPにも、GLP-1にも作用するアナログ製剤として最近になって米国で発売されており、近いうちに日本でも上市されるといわれております。どうやら、GIPの食欲抑制効果や、インクレチン効果はGLP-1よりも強いと考えられており、Tirzepatideの食欲抑制、体重減少効果はかなり強く、実際臨床試験のデータも最強のGLP-1 analogueであるセマグルチド1.0mgを凌駕する勢いがあるのです。ということがあり、再びGIPに注目が集まっています。どうしてGIPのアナログの方が作用が強いのか、ひとつはGIPは脳に働いて、食欲抑制だけでなく、なんらかの作用でエネルギー消費量を増やすのではないかとも考えられております。

いずれにしてもTirzepatideは肥満を合併する2型糖尿病に対して有力な薬になる可能性が高いと思われます。登場を静かに待ちたいと思います。

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