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糖尿病患者の高血圧とどう付き合うのか

[2021.11.11]

糖尿病患者さんのうち、おおよそ半分が高血圧症を合併していると言われております。ひとつには、肥満が背景となって、肥満が高血圧、糖尿病ともに原因の一つであるためと考えられますが、痩せている糖尿病患者さんにも高血圧症がみられる傾向があり、インスリン過分泌による交感神経刺激や、糖尿病性腎臓病によるナトリウム排泄低下などが関係していると考えられます。

糖尿病の3大合併症として網膜症、腎症、神経障害がありますが、高血圧はこれらの合併症を進展させる増悪因子でもあります。また、糖尿病と高血圧はともに心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の主要な危険因子です。このため、糖尿病患者さんにおける血圧管理が大切になります。

クリニックへの受診の際には必ず血圧測定を行いますが、自宅でも家庭血圧を測定することが望ましいです。ガイドラインでは、朝、夜にそれぞれ2回の血圧測定が推奨されていますが、まだ血圧を測定する習慣のない方は、まず家電量販店で上腕に巻くタイプの血圧計を購入していただきます。そして、まずは1日1回でも、どのタイミングでもいいので血圧測定する習慣を始めていただきたいと思います。最近は、患者さんの多くが、朝夕測定した血圧手帳を持参して診察室にて医師に見せていただいています。

まず、減塩、肥満があれば減量を試みます。特に減塩は、高血圧の改善に効果的であり、入院して6g減塩食を食べていると自然と血圧が下がっていき、収縮期血圧100mmHgを下回ってあわてて降圧薬をやめるような方がしばしばいらっしゃいます。日本人の平均塩分摂取量は10gを超えており、高血圧患者の多くの方が減塩が必要です。

高血圧の薬について、現在はアジルバのようなARB、アムロジピンのようなCa拮抗薬が中心です。尿蛋白がみられる糖尿病患者さんではARBを、そうでない患者さんではCa拮抗薬をまず用いることが多いですが、両者を併用しないと十分な降圧がえられない患者様も多くいらっしゃいます。

80歳を超える高齢者の中には、尿中にナトリウムが喪失する状態となり、低ナトリウム血症になりやすい方もいらっしゃいます。この場合は、過度な減塩や、ナトリウムを喪失するARBの使用が適さない場合があります。当院では血清ナトリウムを毎回測定していますので、高齢者にも適切な薬剤選択を行うようにしています。

 

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