メニュー

糖尿病の病名変更へ

[2022.11.12]

数日前に、日本糖尿病協会会長の清野先生が、糖尿病の病名は患者差別につながるため、変更を検討することを発表しました。わたくしとしても全く同感であり、支持します。

糖尿病ということばは現在の正式病名ですが、巷には糖尿という言葉で略されることが多いです。「おれは糖尿だから。」「あの人、糖尿なんだって。」という言葉に使われる糖尿という言葉に、プラスのイメージは全くありません。糖尿病が正式な言葉であり、糖尿ということばは患者さんにも、それ以外の方にも使ってほしくない言葉です。尿という言葉の響きがいいイメージではないこと、実際は尿糖はこの病気の本質ではないのが理由です。

日本で糖尿病を持つ人は1000万人と言われております。その中の多くは糖尿病と共存しており、糖尿病でない人と同じような生活を問題なく送っている方です。人間だれしも、病気や、病気以外でも思うようにいかないことを抱えており、たまたま糖尿病がそれだったという人たちです。糖尿病は現在かなりの程度マネジメントが可能になっており、糖尿病の平均寿命はもはや糖尿病でない人の平均寿命と肩を並べており、当院もたくさんの80代の糖尿病患者さんが元気に通院しておられます。

コントロール良好になっている糖尿病患者さんの、尿糖を測定しますと、多くは陰性となっております。また、SGLT2阻害薬を飲んでいる方は、血糖コントロールは良好でも尿糖4+になり、「きちんとお薬を飲めていますね」ということになりますが、血糖値は良好なのです。糖尿病の本質は高血糖状態であり、尿糖が本質ではないことの例です。

私だけでなく多くの糖尿病専門医は、尿糖は高血糖の結果として生じるものであり、現在では採血での血糖値が重視されており、糖血病や高血糖症のほうがふさわしい病名と考えていると思います。かつて精神分裂病→統合失調症の病名変更のときは多くの人が違和感を感じたと思いますが、現在は統合失調症の病名は世間に定着しており、精神分裂病ということばを奇異に思う方の方が多いでしょう。今こそ病名を変えるときです。当院も、病名変更について、学会に意見を出していきたいと考えております。

 

https://medical.jiji.com/topics/2822

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME