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龍角散について考える

[2023.01.13]

漢方はさまざまな症状に有効ですが、特に、咳、便秘、泌尿器トラブルの3分野については漢方薬が優位な点が多くあります。今日は、漢方薬という分類からは外れますが、咳に有効なOTC薬である、龍角散について考えてみたいと思います。

龍角散のホームページには、江戸時代秋田藩の藩医であった藤井氏が龍角散の原型を作ったとされています。龍角散のパッケージを見ますと、キキョウ、セネガ、キョウニン、カンゾウが構成生薬であり、カンゾウ以外の3つは咳止めや去痰に有効といわれている生薬です。セネガは、もともとインディアンのセネカ族が、蛇にかまれた時の特効薬としてセネガを薬草として使っており、それを18世紀にアメリカ人がヨーロッパに紹介し、以後、咳止め去痰薬として世界中で用いられたもので、おそらく明治時代以降に日本に入ってきたため、江戸時代に完成された漢方処方にはないものです。セネガがいつから藤井家の龍角散に取り入れられたのか、興味があるところですが、調べた限りではわかりませんでした。

キョウニンは、あんずの種のことです。キョウニンが咳などの風邪症状に有用と考えられていたことは、日露戦争のころにかかれた小説「吾輩は猫である」にも記載されています。主人公の先生が、妻と芝居をみに出かける日に風邪をひいてしまい、「甘木先生に杏仁水でも処方してもらえば、いまにも治るに決まっているのだが」とあります。余談ですが杏仁豆腐(あんにんどうふ)の杏仁は読み方が違うのですが、あんずの種をフレーバーとして使っているので杏仁豆腐と呼ばれます。

キキョウは、5角形の紫色の花で、戦国武将の家紋によく使われました。ツムラの漢方薬には番号が振られていますが、最後の138番が桔梗湯で、のどの痛みが強い風邪にとても有効なことがあります。

以前、正露丸や救心などの民間薬も有用なことがあり、国民薬として浸透しているというお話をしましたが、龍角散もまさに国民的な民間薬です。飲みやすく改良した龍角散ダイレクトは、大気汚染やコロナに苦しむ中国人が「爆買い」して持ち帰っているといわれております。私も風邪をひいたときに使っています。

咳に対してはメジコンやリン酸コデインなどの鎮咳薬もある程度有効ですが、咳反射が出現するようになってからだと効果が見えにくいことがあります。咳については麦門冬湯や、柴朴湯や五虎湯などの漢方薬も有用ですが、龍角散を使うのも面白いです。

 

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