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風邪には葛根湯?

[2023.06.11]

風邪に一番処方される1番葛根湯ですが、風邪のひき始めに有効な薬です。葛根湯が有効なのは風邪をひいて、せいぜい3日間ぐらいです。それ以後、高熱は出なくなったものの微熱が続く場合、咳や痰などの呼吸器症状、倦怠感が続いているとき、9番小柴胡湯や10番柴胡桂枝湯の出番になります。

小柴胡湯は、柴胡、黄芩(オウゴン)、半夏、人参、甘草、大棗、生姜の7味からなります。柴胡と黄芩の組み合わせは風邪による炎症を静めます。半夏は吐き気や咳を抑えます。人参は野菜のニンジンではなくて、ウコギ科の薬用のチョウセンニンジンで、体力を回復します。甘草、大棗、生姜は、それぞれ、甘みを与える生薬、なつめ、生のショウガです。この3つの組み合わせはいろんな漢方に含まれていますが、昔のブレンドの胃薬とお考え下さい。

柴胡桂枝湯は、柴胡、黄芩、半夏、人参、桂枝、芍薬、甘草、大棗、生姜からなります。小柴胡湯と比較してみますと、構成する生薬はよく似ています。柴胡桂枝湯には、桂枝湯という漢方の基本骨格を含んでおり、柴胡+桂枝湯という名前になっております。桂枝湯は名前の通り桂皮(シナモン)を含む漢方薬です。一般的に、温める生薬が多いほど、漢方は元気がない虚証の患者さん向けになります。反対に冷やす生薬が多いほど、漢方は元気な実証の患者さん向けになります。この観点からみると、小柴胡湯は、冷やす黄芩と温める人参があるので、中間になり、実証と虚証の間の人向けです。柴胡桂枝湯は、温める生薬である桂皮が加わるので、やや体力の低下した虚証向けの漢方になります。

シナモン

もうひとつよく似た漢方薬に11番 柴胡桂枝乾姜湯がありますが、こちらは強く温める乾姜(湯通ししたショウガ)を含んでおり、明らかに冷えを伴っている虚証の患者さん向けの漢方になります。

実は9番と10番では大きな差ではないと考えてよく、小柴胡湯の代用として柴胡桂枝湯を使ってもよいと考えます。小柴胡湯そのものを使う頻度は少ないのですが、小柴胡湯に半夏厚朴湯を合わせた柴朴湯、小柴胡湯に桔梗、石膏を加えた小柴胡湯加桔梗石膏は、長引く咳に特に有効でよく使います。風邪をひいて微熱が1週間ぐらい続く患者さんには、柴胡桂枝湯が有効な場合があります。風邪が急性なのか、急性期を過ぎているかで、処方が変わります。葛根湯をつかってもなかなか風邪が改善しない、という場合は病院を受診してください。

 

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