肥満症に対する注射製剤 ウゴービ皮下注射
2023年4月に、肥満症に対する注射製剤である、ウゴービ皮下注射があたらしく保険適用されることが決まりました。現在は発売日待ちの状況で、まだ処方することはできません。
ウゴービ皮下注射は、セマグルチドという成分であり、GLP-1受容体作動薬に該当します。糖尿病に用いられるオゼンピックと成分は同じですが、適用疾患が肥満症になり、オゼンピックとは薬事上別の薬の扱いになります。
ウゴービ皮下注射は、BMI27以上で、2つ以上の肥満に関連する健康障害が生じている場合、またはBMI35以上の場合に、保険診療で使えることになります。
2つ以上の健康障害とは、
1) 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
2)脂質異常症
3)高血圧
4)高尿酸血症・痛風
5)冠動脈疾患
6)脳梗塞・一過性脳虚血発作
7)非アルコール性脂肪性肝疾患
8)月経異常・女性不妊
9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10)運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
11)肥満関連腎臓病
のうちの2つ以上のことを指します。
これまで、肥満症にたいして、食欲を抑制して、保険適応となっているお薬はサノレックスのみでした。ただし、保険適応となるにはBMI>35の高度肥満症が必要であり、また3か月間の投与期間の制限があり、あまり使いやすいお薬ではありませんでした。糖尿病のお薬で、GLP-1製剤であるオゼンピックやリベルサスは食欲抑制効果があり、保険適応外で、主として美容を目的としたクリニックで、これらの薬剤が自由診療で処方されておりました。しかし、これらの薬剤を使用経験が少なく、副作用について適切に対処できない事例がありました。今回は保険適応ということで、糖尿病内科のクリニックでも処方できることが期待できます。現在は発売日待ちの状況で、まだ処方することはできませんが、また追加情報がありましたら当院のホームページにて情報提供をいたします。