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糖尿病網膜症

[2022.06.29]

糖尿病をもつひとについて、血糖値やHbA1cがそのときの瞬間風速だとしたら、網膜症が存在するのか、どの程度進展しているのかは、その方の糖尿病のコントロールの歴史を表すものです。たとえ、現在のHbA1cが良好であったとしても、網膜症が進展しているとしたら、過去に血糖値が高い期間が年単位で存在していたことを表します。また、たとえHbA1c 15%で緊急入院になったとしても、糖尿病の発症が最近であれば、眼科受診しても網膜症は「なし」の判定となります。したがって、糖尿病と言われたら眼科にかかる、眼科はすくなくとも1年に1回はかかるというのが鉄則になります。

眼科にいってもらって、網膜症がなしと判定されれば、糖尿病を持つ方については、「網膜症がないということは、全身の合併症はあまり進んでいないということなので、ある程度安心してよい」と説明しています。網膜症がある、と判定された場合、網膜症には3段階ありますので、その3段階について説明しております。

ステージ1 単純網膜症です。血糖値が高い状態が数年続くと、網膜の血管がもろくなり、タンパク質や血液などの物質が外に漏れやすくなります。眼底をみると点状出血や白斑が認められます。ステージ1であれば、血糖コントロールが良好が続くとかなり元に戻る余地があるといわれております。

ステージ2 前増殖網膜症です。ステージ1の状態から、さらに血糖値が高い時期が続くと、網膜の酸素不足が顕在化してきます。特徴的な所見は軟性白斑で、ぼやっとした白い大きな斑点が多数認められるようになります。

ここまでくると通常は元に戻ることはありませんが、多くの場合は網膜光凝固、いわゆるレーザー治療で、進行を止めることが可能です。逆にいえばレーザー治療をやっているということはステージ2以上の時期があったと考えてよいです。レーザー治療は、黄斑から遠い、大事でない部分を焼いて凝固させ、血液や酸素を中心の黄斑部分にあつめることで、虚血の進行を食い止めることが可能です。また、この時期になると、黄斑浮腫と言って、大事な黄斑部分のむくみが見られることがしばしばあり、急激に視力が低下することが起こりえます。黄斑浮腫に対してはアバスチンのようなVEGF抗体の注射薬が高額ですが、威力を発揮することがあります。

ステージ3 増殖網膜症です。網膜の酸素不足が長く続くと、網膜から新生血管が出現します。この新生血管が破れて出血したり、増殖膜を作って、牽引性網膜剥離を起こしたり、緑内障を起こしたりして悪さをします。硝子体出血を起こして、真っ赤になって見えなくなると、硝子体を取り除いてゼラチンに置き換えるような手術を行うと、視力が回復する場合があります。

 

 

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