メニュー

妊娠とバセドウ病 

[2022.10.03]

バセドウ病は若い女性によく起こる疾患であることは以前もこのコラムで取り上げておりますが、若い女性ということはイコール妊娠可能年齢でもあり、バセドウ病につかうMMIやPTUといった薬をどうするか、ということが問題になります。現在の甲状腺学会のガイドラインに沿って説明します。

MMI(メルカゾール)やPTU(チアマゾール)は、バセドウ病を薬物療法で主役の薬です。皮疹や肝機能障害などの副作用はPTUがMMIと比べが頻度が高く、甲状腺を抑える力はMMIが強いので、単にバセドウ病の治療としては、できればMMIを使いたいところです。しかし、MMIは妊娠初期には胎児奇形の発生率が4.1%であったと報告されており、妊娠初期でどうしても薬を使いたい場合はPTUを使います。

授乳中の場合、PTUは6錠まで問題なく使えますが、メルカゾールは1日2錠までなら母乳中の移行は少なく問題なく使えます。3錠以上なら、授乳までの間隔を内服から6時間空けると使うことができます。

現在妊娠していなくても、妊娠可能年齢でバセドウ病と診断され治療が必要な場合、妊娠の希望があるかを伺います。妊娠が気づいた時には妊娠2-3か月に達しているため、心臓や神経系ができてゆく器官形成期に達してしまいます。MMIの暴露を減らすため、妊娠希望があれば、また妊娠する可能性があれば、あらかじめ妊娠する前からPTUに変更します。ガイドラインでは、MMIは妊娠5週0日から9週6日まで避けることが推奨されております。

TRAbが低値の活動性の低いバセドウ病に対する、ヨウ化カリウムへの変更も考え方としてはありだと思います。ヨウ化カリウム単独でも効果がある場合がありますし、ヨウ化カリウムは妊婦への危険性は少ないと考えております。

バセドウ病合併妊娠への、アイソトープ治療は禁忌ですが、甲状腺クリーゼレベルのバセドウ病に手術をすることはあります。かなり重症の患者に対する選択肢の一つとなります。病勢が強い場合、あらかじめ手術をおこなって甲状腺を摘出し、チラーヂンS内服した状態で安全に妊娠を目指すことも行われます。

大切な患者様が安心して出産ができるためにも、当院は今後も若い女性のバセドウ病治療に積極的に向き合っていきたいと思います。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME