メニュー

メリスロン

[2022.12.17]

外来には1日に一人ぐらいはめまいの患者さんがいらっしゃいます。ぐるぐる回る回転性めまいや、ふわふわとした感じが持続する浮動性めまいなどです。

人間は、視覚による情報と、内耳から入る平衡感覚が統合されて空間を認識しています。まっすぐ立ったり歩いたりできるのはこの感覚が統合されているからで、内耳の障害によって、この統合感覚が崩れ、めまいの症状となって現れるのです。

急性に来るめまいは嘔吐を伴い、患者さんは自分の体に何事が起ったかと、しばしば救急車を呼んで1泊入院となるケースが多いです。その中には脳血管疾患も紛れ込んでいるので、頭部MRIを実施することがあります。

クリニックにいらっしゃるめまいの多くは、慢性化しためまいです。このようなめまいに対して、古くから使われる薬がメリスロン、一般名ベタヒスチンです。

この薬の歴史は古く、私が生まれる前から世界中で処方されています。とうぜん特許も切れているので、ジェネリック医薬品として処方されるケースが多いです。

この薬の作用機序は、脳や内耳の血流を改善したり、内リンパ流を改善し、内耳機能を改善させる機序が考えられております。英語で書くとbeta-histineとなり、ヒスタミンに作用する薬であることがわかります。ヒスタミン受容体は脳内に発現していて、アレロックなどの抗ヒスタミン薬で眠気が起きるのはここに作用するからです。メリスロンで眠気が起きることは少ないと考えられています。

また、日本で最近実施された臨床試験で、メリスロン内服にて記憶力、忘れたものを思い出す力を回復させたという研究がありました。おそらくメリスロンは脳のヒスタミン受容体にはたらき、脳機能を改善させたと考えられ、今後新たな適応がとれる可能性もあります。

当院は糖尿病や甲状腺疾患に限らず、体の悩みについては可能な限り向き合います。慢性化しためまいには漢方薬(五苓散、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯)が有効な場合もあります。患者さんの状態を見て、西洋薬と漢方薬を使い分けています。

 

https://doi.org/10.1016/j.biopsych.2018.11.009

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME