若い女性の糖質制限
糖尿病→糖質を制限すべき、という考えが一般の方にもかなり浸透してきました。糖質制限といっても、夜はご飯を控えめに、というライトなものから、炭水化物の食品は極力口にしないというハードなものまで、かなり幅があるものですが、一般的に糖質制限というと、一日糖質摂取を130g以下という基準があります。この130gという数字の根拠としては、多くの文献を見ますと、脳と赤血球が1日に必要な糖質が、それぞれ100gと30gであり両者を合計して1日糖質130gという数字になっているようです。糖質130gは520kcalに相当するため、成人女性の必要エネルギー量が平均で1400kcalとして、総エネルギー摂取の37%に相当する量です。現在日本人の糖質摂取量は50%程度に落ち込んでおり、37%なら比較的実現しやすいです。
太っていて体重減少が必要な2型糖尿病の方ですと、糖質をある程度制限することは、体重コントロールや血糖コントロールに役に立ちます。しかし、全く減量する必要がないやせ傾向の若い女性が糖質制限を実行している点は問題です。糖質は生きていくために必要なエネルギー源であり、痩せ傾向(BMI<18)の若い女性に対しては、少なくとも、糖質1食当たり40グラム、ごはんでは100gを摂取するように勧めています。これでも少ないという意見もありますが、現実的に実行できる量ということで説明しております。身長が160cmを超えているかたは、標準体重が55kg以上となり、糖質50-60g以上を勧めることもあります。
極端な低栄養状態に対しては、外来で栄養相談を行うことがあり、保険も適応されます。極端な低体重ですと、低T3症候群や鉄欠乏性貧血、月経異常をきたすことがあり、治療の対象になります。当院では、このような患者様も対象に栄養指導を行っております。食事は食べ過ぎても、食べなさ過ぎても問題になりますので、患者様の状態を見まして、それぞれに必要な栄養相談を実施しています。