糖尿病は単に生活習慣病とは言えない
50代男性のAさん。のどが渇く症状、夜にトイレに起きる症状で来院されました。身長165cm 体重58kg BMI(体重kg÷身長m÷身長m) 21と標準体重に近い方ですが、5年前に63kgまで体重が増えたことがあるとのことでした。HbA1c 12%, 血糖値390mg/dlであり、2型糖尿病の診断でインスリンが導入になりました。
Aさんは日本人の糖尿病でよくみられるタイプの、非肥満、インスリン分泌不全型の糖尿病です。 糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)の2022年のデータでは、2型糖尿病患者さんの平均BMIは24.74と、患者さんの半分は肥満ではないということになります。
糖尿病の95%を占める2型糖尿病は果たして生活習慣病でしょうか?糖尿病は、生活習慣病の要素もありますが、遺伝子レベルで糖尿病になりやすい因子、つまりインスリン分泌が足りないという要素を持っており、多くの方に、ご両親ご兄弟に糖尿病の家族歴があります。つまり、遺伝的要素に、過食や肥満などの遺伝因子が複雑に絡んで発症するのが2型糖尿病と言え、単に生活習慣病とまとめることはできません。
食べ過ぎ、飲みすぎ、肥満、自己管理ができないという糖尿病のイメージはほぼ間違っていると考えており、糖尿病という差別的なニュアンスを持つ言葉から、病名を変更しようという試みがなされております。