橋本病(慢性甲状腺炎)について
このような症状はありませんか?
以下のような症状がある場合、甲状腺ホルモンが不足している可能性があります。
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全身のむくみ
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寒がり
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皮膚の乾燥
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体重増加
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便秘
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気力低下、だるさ
これらは甲状腺機能低下症でみられる代表的な症状です。
その原因のひとつが 橋本病(慢性甲状腺炎) です。
橋本病とは
橋本病は、免疫の働きによって甲状腺に慢性的な炎症が起こる自己免疫疾患です。
バセドウ病と同じく、甲状腺の自己免疫疾患の一つです。
橋本病に関連する抗体には主に次の2つがあります。
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サイログロブリン抗体(Tg抗体)
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甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)
実はこれらの抗体は珍しいものではなく、
成人の約20%がどちらかの抗体を持っている
といわれています。
抗体を持っている方の甲状腺をエコーで観察すると、
橋本病に特徴的な変化がみられることがあります。
しかし重要なのは、
抗体がある=病気になる、というわけではない
という点です。
当院では、検診などで甲状腺が腫れているといわれてエコーを撮りに来られる方が多いのですが、そうした中で結構な確率で橋本病の抗体を持っている人がいます。そうした方は、採血で甲状腺ホルモンも確認し、正常であっても、2-3か月後にはチェックするようにしています。
橋本病で何か悪いことは起こるのか?
結論から言うと、
甲状腺機能が正常であれば基本的に問題は起こりません。
橋本病の方の多くは
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一生甲状腺機能は正常のまま
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特に治療も必要ない
という経過をとります。
橋本病の方のうち
約10%程度が生涯のどこかで甲状腺機能低下症を発症する
とされています。
そのため人口全体では
100人に1〜2人程度
が甲状腺ホルモンの補充治療を必要とする甲状腺機能低下症になると考えられています。
橋本病の治療
甲状腺機能低下症が起きた場合には、
甲状腺ホルモンを補充します。
使用する薬は
チラーヂンS(レボチロキシン)
です。
この薬は
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1日1回の内服
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体内半減期が約7日と長い
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安定した効果
という特徴があります。
初めて診断された場合には
25μg程度の少量から開始し、
1か月ごとに血液検査を確認しながら調整します。
長年の橋本病で甲状腺の働きが低下している場合には、
1日100μg前後
の補充が必要になることもあります。
橋本脳症という病気について
橋本病に関連する非常にまれな病気として
橋本脳症という疾患があります。
これは
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意識障害
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けいれん
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精神症状
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認知機能障害
などを起こすことがあります。
ただし発症頻度は
10万人に2〜3人程度
とされており、非常に稀な疾患です。
また、橋本脳症は
甲状腺機能が正常でも発症することがあります。
しかし橋本病の患者さんの大部分が
このような病気になることはありません。
まとめ
橋本病は比較的よく見つかる病気ですが、
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抗体を持つ人は多い
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多くの人は無症状
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治療が必要になる人は一部のみ
という特徴があります。
そのため大切なのは
定期的に甲状腺ホルモンの値を確認すること
です。
このような症状はありませんか?
・咳が2週間以上続いている
・倦怠感が続いている
・甲状腺の異常が心配
・市販薬で改善しない
・健診で異常を指摘された
・体重や血糖値が気になる
当院では、必要に応じて
血液検査やエコー検査を行いながら評価いたします。
症状が長引いている場合や、ご不安がある場合には、
無理に様子をみず、ご相談ください。
