「発熱=風邪」とは限りません
― 発熱外来で見つかった2つの大切なケース ―
発熱外来には、毎日たくさんの患者さんが来られます。
まず行うのは、新型コロナやインフルエンザなどの抗原検査です。
これらは原因がはっきりしており、治療や過ごし方も比較的決まっています。
いわば「診断がつけば、あとは治っていく病気」です。
ところが、問題になるのは抗原検査が陰性だった場合です。
「ただの風邪でしょう」と済ませてしまいたくなる場面ですが、
実はその中に、放っておくと重症化する病気が隠れていることがあります。
そうしたときに大切になるのが、血液検査(採血)です。
採血を行うことで、
・感染症なのか(細菌性なのか?ウイルス性か?)
・体の中で強い炎症が起きているのか
・ホルモンの異常があるのか
といった、あたり をつけることができます。
今回は、発熱をきっかけに重大な病気が見つかった2つのケースをご紹介します。
ケース① 発熱と「尿が出にくい」症状 → 前立腺炎が見つかり入院
糖尿病のある中年男性が、「熱が続く」と来院されました。
お話をよく伺うと、
・発熱
・なんとなく尿が出にくい感じ
という症状もありました。
この時点で「前立腺の感染症かもしれない」と考え、採血、尿検査などの検査をおすすめしました。
抗原検査は陰性でしたが、血液検査では強い炎症反応を認めました。
また、尿中には白血球が増加。詳しく調べたところ前立腺炎と診断されました。
糖尿病のある方は感染症が重症化しやすいため、外来での治療は難しいと判断し、病院へ紹介して入院治療となりました。
もし「風邪でしょう」と様子を見ていたら、さらに悪化していた可能性があります。
ケース② 長引く発熱と動悸 → 亜急性甲状腺炎
30歳の女性です。
熱がなかなか下がらず、来院時には心拍数130/分と、脈もかなり速い状態でした。
抗原検査は陰性でしたが、「発熱+頻脈」という組み合わせから、その日のうちに採血を行いました。
すると甲状腺ホルモンの異常が見つかり、「亜急性甲状腺炎」という病気と診断しました。
これはウイルス感染などをきっかけに起こる甲状腺の炎症で、
発熱や動悸、だるさなどが続くことがあります。
この病気は、プレドニゾロンという薬がよく効きます。この方も早期に診断できたことで、適切な治療につなげることができました。
発熱が続くとき、こんな場合はご相談ください
発熱の背景には、尿のトラブルや動悸など、ちょっとした「違和感」がヒントになることがあります。
次のような症状がある場合は、
「風邪かな」と自己判断せず、早めの受診をおすすめします。
・熱が数日続く
・動悸がする、脈が速い
・尿が出にくい、違和感がある
・強いだるさがある
・糖尿病などの持病がある
・抗原検査が陰性なのに体調が悪いまま
発熱の原因は、感染症だけとは限りません。
当院では必要に応じて採血を行い、
「体の中で何が起きているのか」を一緒に確認していきます。
気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。
