糖尿病神経障害
糖尿病神経障害
糖尿病神経障害は、高血糖が持続することで、末梢神経の伝達速度が障害されることで起こります。
糖尿病3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)の中で、最も早くから出現し、最も頻度が高いのが神経障害です。
神経障害は多発神経障害、自律神経障害に分けられます。
多発神経障害は手足などの神経が侵され、両足のしびれ、痛みなどの症状が出現します。
もっとも症状がでやすい部位は、足裏や足先などの四肢末端の一番遠いところです。
神経障害があっても、しびれを訴える患者さんは全体の2割程度です。しびれなどの症状がないからといって神経障害がないとはいえません。振動覚やアキレス腱反射を測定し、自覚症状の有無と合わせて診断します。必要に応じて、神経伝導検査という、神経に電気を流し、神経がどの程度生きているかを確認する検査を行います。
神経障害の症状
足の痛みやしびれは、
「ちくちくする、ぴりぴりするような痛み」
「夜布団に入ると足がじんじんしびれて眠れない」
「足の裏に紙がはりついたような感じがある」
「歩くと床についた足裏がビリッと痛い」
などと表現されます。
片足だけに症状がある場合は少なく、通常両足に症状を認めます。
神経障害に効くお薬
神経障害に対して劇的に効くお薬はありませんが、痛みがあるということは、神経が生きている証拠でもあり、対処療法と血糖コントロールで粘り強く治療を行います。薬としては神経性の痛みに効くプレガバリン、痛みを抑える神経を強化するデュロキセチン、トラマドールが配合されているトラムセットなどを用います。漢方薬では八味地黄丸や牛車腎気丸を用います。
たばこやアルコールで悪化しますので、禁煙やアルコールの制限が必要になります。
自律神経障害
自律神経が障害されるものを、自律神経障害と呼んでいます。糖尿病の罹病機関が長期になると出現することがあります。自律神経とは、脳・脊髄から下降し、体のありとあらゆる臓器(眼球、唾液腺、汗腺、心臓、肺、消化器系、膀胱、生殖器など)に張り巡らされている神経です。自律神経には
交感神経と副交感神経からなり、交感神経は体に刺激を与えて心身を活発にし、副交感神経は体を休めてリラックスさせる方向に働く。
自律神経障害が生じると
- 起立性低血圧、神経調節性失神
- 糖尿病性胃麻痺(胃の動きが極度に低下し、胃から十二指腸に食物を送り出せない)
- 発汗障害 (上半身の異常発汗、下半身の発汗低下 皮膚の乾燥による障害)
- 膀胱機能障害、尿閉(膀胱に溜まったおしっこが出せなくなる)
- 勃起障害
が出現することがあります。
CVR-Rやシェロングテストを行います。シェロングテストは座位や立位の血圧を測定するもので、当院でもよく行っています。